まだ残暑がきつい9月。
午後9時頃、人通りの少ない高架下で4人の青年がいた。
3人は1人をカツアゲしているようだ。
しかしいくら声を張り上げても、威嚇で殴ったりしてもその1人は一向に口を開かない。
耐えかねた3人のうちの1人が胸ぐらを掴み、一触即発になった時、ようやく1人は口を開いた。
「なぁ…HAPIって知ってるか?」
青年はほのかに笑っていた。
3人は何のことか分からずうろたえているように見えた。
青年はそのまま続ける、
「世の中にはさぁ…思春期に変な力持っちゃう奴がいるわけよ。例えばよ〜じーーっと物見てるだけでその物が燃えちまうとかな。そんな奴らを急に拉致して収容して世間から隔離するような施設があんのよ。まぁ表沙汰にならない裏の話だけどな。そこを通称HAPIっていうんだよ。そんな人徳無視したとこが“ハッピー”って名前なんだぜ?呆れてものも言えねぇよな。(笑)」
もう3人は青年の並々ならぬ雰囲気を恐れていた。
「そんなとこでもめちゃくちゃ危険な能力持った奴が施設内でも隔離された“S部屋”ってとこから一昨日、逃げ出した奴がいるんだよ〜施設の人間5人を金槌で撲殺して鍵奪って施設内の人間専用出口から脱走したんよ〜…………………………ソイツ…今何してんだろな?」
最後まで聞かないうちに3人は逃げていった。
残った青年はフェンスにもたれ、そのまま地面に腰かけた。
青年はしばらく人形のように動かなかったがその後また道をすたすた歩いて行った。
青年の名前は灰原ヤマト。