望み?
「・・・、うん、そうだ。望みだよ。僕は、咲ちゃんをまもりたかった。」
男は急に立ち上がると、
ぼろぼろ
のポケットの中から、一枚の写真をとりだした。
そこには、まだ元気な頃の自分と咲が映っている。
君達の
「今の人生はこれで終わってしまった。が、魂は輪廻転生し新しい人生がまたはじまる。」
その中で、
「彼女と君を引き会わせよう。君の望みは、俺では叶えてやれない。」
この
「望みは自分自身の手で叶えなければ。」
だから、
「俺は君達を必ず会わせる。君がどの国の何処で生まれ変わろうとね。」
男が頭に触れた瞬間、体が光り始めた。
な
「何?これ、・・。」
君は
「生まれ変わるんだ。残念ながら君の望みは今は叶えてやれない。だが―。」
いいよ
「助けなんかなくったって。自分でやれるさ。」
君は
「やはり、――だ。」
え?
「聞こえない、何?何て言ったの?」
男は黙って首を振り、天を指した。
わ
と身体が浮かび上がり、大きな光に包まれていく。
「あれ?確か、」
この感じ
以前にも感じたことのある暖かな光が、大きく身体を包んだ。
男は微笑みを浮かべて見送った。
が、次の瞬間、眉間にしわを作った。
ええ
「分かってますよ。またやりました。」
男のすぐ横には、子供達を連れて行く、あの光がいた。
ぼんやりと人の形を成すその光は、男の肩に触れた。
男の身体がぼんやりと光り始めた。
ええ
「何度でも、何百年でも、続けましょう。」
そう、片膝をついた男の姿は、小綺麗な身形になっていた。
それが
「あなたとの契約ですから。」
再び立ち上がった男は、美しい青年になっていた。
やれやれ
「服が綺麗になったのはいいですが、この顔では子供は逃げてしまうかもしれませんね。」
ぶつぶつ
文句を言いながら身を翻す。
18年後、一組のカップルが誕生する。
が、これはまた別の話になる。