願い想い

ふく 2011-10-24投稿
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あなたに気付かれないようにそっと近付いて
あなたを後ろから抱きしめた
出来るだけ優しく
出来るだけ愛を込めて

甘いあなたの髪の香り
少しだけ触れ合った互いの頬
腕を廻した時に感じたあなたの肩の細さ
驚く程の僕の鼓動の激しさ
このままあなたと
いつまでもあなたと
ずっと触れ合っていたいのに

いつも見続けた背中
短く切られた栗色の髪と
小さな背中
そのくせいつでも強いあなたのその姿に恋をした
追いつきたくても追いつけない距離がもどかしくて
ただ願った
いつか
あなたの背中を抱いて僕は言う
ありったけの愛を

あなたへ近付く心臓は高鳴り
あなたへ延びた手は震えた
もういいんだ
一度だけ夢を見てみたかった

少しだけ聞こえたあなたの鼓動
少しだけ肩が強張る
溜め息を一つ着く
あなたにとっては一秒でも
僕にとっては永遠を願わずにはいられなかった

あなたの左腕があまりにも静かに優しく僕の両腕を解く
振り返ったあなたの困惑が混じった悲しそうな表情に胸が引き裂かれる

『駄目よ』
小さな声に我に帰る
『ごめん』
そう言って体を離す

あなたはまた僕に背中を向ける
何も言えずに距離を離した

いつも見続けたけど
これからも見続けることしか出来ない
そんな現実で僕の胸は苦しくて

あなたと向き合うことさえ出来ない
いつだってあなたは僕の前を歩いて
追い付けない

それでも忘れられない
抱きしめたあなたの感触を
あの時に感じた確かな僕の愛を
思い出すとまたあなたに恋をするこの感覚を

あなたがいつか振り向いてくれるといい
そのクールなあなたも
揺れないあなたも愛して止まない
この歯痒い想いも大切なあなたへの恋
そう思ってしまうから



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