山梨県の隅、人っけのないところにそれは位置していた。
政府機密施設HAPI。
地獄のような三日間を乗りこえ、ようやくここに来れた北元と宮沢は感無量であった。
施設の入り口では入念に持ち物検査され、携帯電話はもちろん、ネクタイ、スーツ、ベルトまで没収され、シャツにベルトのないズボンというおかしな格好にされた。
施設では片山という男性が施設内の案内を担当することになった。
まず案内されたのは“一般寮”。
ここでは人に危害を与えない能力をもつ者逹が共同生活する場。
特に不自由はなく、高校までの教育の場は整っているようだ。
すれ違う少年や少女逹はみな元気に挨拶をする。
「想像してたのと全然ちがいますね、宮沢さん。」
「あぁ。もっと厳しく、刑務所のような場所を想像していたが。」
次に片山は教室を見せてくれた。
この“一般寮”は四つの棟から成っていて、生活の中心となる棟と小学校、中学校、高校とそれぞれ棟が分かれている。
今日は小学校の授業風景を見せてもらえることになった。
「こりゃあ凄い…」
宮沢が教室内をみて唖然とした。