「大きくなっても、ずーっと一緒だよ。」
僕は素直な気持ちを伝えた。
君は、まるで天使のような笑みを浮かべ2人の間には、固く結ばれた絆と優しく握られた2つの手があった。
「わたし、大きくなったらケンちゃんの…」
ピピピッピピピッ
その後の言葉をかき消す目覚まし時計は、妙にタイミング良く感じた。
懐かしい夢からの目覚めに、いつもより爽やかな朝を迎えた。
「行ってきまーす。」
学校へは歩いて20分ほど。
特に頭が良いというわけではないが、家から1番近かった。という単純な理由で進学した。
部活動には属さず、放課後はバイト中心。
成績も「中の上」という何とも平凡な高校生活だ。
そんな高校3年生の夏、皆が部活や受験勉強に勤しむ中、俺は進路について考えていた。