第1話「夢の跡」

九十九 2011-10-28投稿
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「大きくなっても、ずーっと一緒だよ。」

僕は素直な気持ちを伝えた。

君は、まるで天使のような笑みを浮かべ2人の間には、固く結ばれた絆と優しく握られた2つの手があった。

「わたし、大きくなったらケンちゃんの…」

ピピピッピピピッ

その後の言葉をかき消す目覚まし時計は、妙にタイミング良く感じた。


懐かしい夢からの目覚めに、いつもより爽やかな朝を迎えた。

「行ってきまーす。」
学校へは歩いて20分ほど。
特に頭が良いというわけではないが、家から1番近かった。という単純な理由で進学した。

部活動には属さず、放課後はバイト中心。

成績も「中の上」という何とも平凡な高校生活だ。

そんな高校3年生の夏、皆が部活や受験勉強に勤しむ中、俺は進路について考えていた。



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