こら
「駄目だよ。君のだけじゃないんだからね。」
男は光を大事そうに抱えた。すると光は大きく拡がり2・3歳くらいの子供が現れた。
まだ上手く話せないらしく、手をいっぱいに伸ばして欲しがった。
「とーだい、とーだい。」
男がいくつか渡してやると、行儀よく頭を下げてから、頬張った。
まぁ
「可愛いらしい。」
婦人はさして驚かない。それどころか、子供を膝に招いて、桃饅を与えている。
ありがとう
「ございます。本当に、何から何まで。」
あら
「いいのよ。貴方にはこれくらいじゃ足りない位の恩があるもの。」
そ、そんな
「恩だなんて・・。」
婦人はかつて、この男に我が子を見送ってもらった事があった。