綺麗な碧い瞳に金髪の、いわゆる王子様のような白人がにっこり微笑みながら私を見つめている。
「お怪我は御座いませんか?ミス」
とろけるような優しい声で話しかけている。
「い…イエス…イエス…」
「それは良かった。お手をどうぞ。立てますか?」
何?これって夢?恐怖で頭いっちゃったのかな…
私は舌を噛んでみた…痛っ!…現実だ…
もう一つの影はタックの縄を切り猿ぐつわを外すとタックの肩を叩いた。
「待たせたな、タック」
「ん!?その声は…」
影はタックに背を向けパムのところへと歩いてきた。
と、何故かパムはスッと立ち上がり縛られていたロープを床に落とした。
何で!?
いつの間にかパムの手には小さなナイフが握られている。
「なんだJJ!俺の出番取りやがって」
「悪いな、パム」
2人はガッチリ握手すると抱き合った。
知り合い?
JJと呼ばれた影が私に顔を向けると日本語で話しかけた。
「大丈夫ですか?怪我は無いですか?」
突然久しぶりに日本語で話しかけられて私はしどろもどろになりながら何とか
「は…い」
とだけ答えた。
「それは良かった」
言いながらJJは覆面を外した。
現れたその顔は…なんと言えばいいのか…
私は歴女とやらではないから詳しくは知らないけれど、もし、タイムマシンがあって本物のサムライが現れたらこんな顔付きではないかと。
凛とした面構え
揺るぎない意志を示すような眉
そして、優しさと、何か深い深い…得体の知れない何かが宿っている感じがする瞳
素敵…
率直に素敵すぎる程素敵…
私は吸い込まれそうなその瞳からしばらく目を離せなかった。
「気分が悪いですか?」
JJの問いかけに我に返った私は急に身体が震えだして倒れかけた。
ふわっと私の身体を抱き上げてJJは私を椅子に座らせてくれた。
「少し休んで下さい」
胸が苦しい…
とてつもなく胸が苦しい…
そう、私はその瞬間 彼に恋をしてしまったのだ…
「タック、パム、資料の押収を頼む。ウィ、こいつらの映像撮ってくれ。僕はDNAと指紋の採取をする」
彼の指示通り皆がテキパキと動き出した。
やっぱり皆プロね…
少しだけタックを見直した。
私も手伝わなきゃ
私は男達の携帯電話をすべて押収し袋につめた。
「OK!離脱する!」