「そう、海軍だよ」
「あ…SADで海軍っていう事は…シールティーム?」
「さすがNISの上級アナリスト。正解だ。俺はティーム5にいたんだ」
「エリートなのねえ。じゃあ、もしかしてあのJJっていう人とウィっていう人もシール?」
「…ユキは上級アナリストだからアクセス出来る情報レベルは高いよね?」
「ああ、そうね。アクセス権限レベルは高いけど」
「ならいいだろう。あの二人はデブグルだ」
「デブグル!?」
「そう」
「スーパーエリートじゃない!ハァ…」
「どうしたんだい?」
「あ…なんでも…」
やっぱり無理よね… デブグル隊員だなんて…
高嶺の花どころか宇宙の星って感じ…
「大丈夫かい?ユキ」
「大丈夫よ…でも考えたら、デブグル隊員の護衛なんて贅沢よね?」
「うん、大統領でさへなかなか無いからね。まあ、大統領にはシークレットサービスがいるけど」
デブグルの護衛と言えば、伝説になっている事件がある。
あれは、アフガニスタン暫定政権発足間もない頃。
世界中のマスメディアは暫定政権に注目し、連日カルザイ議長の動向を世界に配信していた。
その日も、欧米メディアをはじめ世界中のマスメディアが集まっていた。
ある建物からカルザイ議長が出て来るのをメディアは待ち構えていた。
そこへカルザイ議長がにこやかに手を振りながら現れた。
その頃、カルザイ議長の警護は一週間毎に、デブグル隊員とデルタフォース隊員が交互に行っていた。
その日はデブグル隊員の担当だった。
カルザイ議長が建物を出て数歩進んだ時、突然デブグル隊員が発砲したのだ。
現場はパニックに陥った。
混乱の中、カルザイ議長の姿が消えた。
カメラがパンすると既に議長は車に乗せられ現場から離脱していた。
残りのデブグル隊員は360°方向の警戒をしながら車に乗り込み消えていった。
ここまで十数秒。
後に映像を解析したところ、カルザイ議長の警護に就いていたはずのアフガン兵の中に、タリバンが潜り込ませた暗殺者が数名いたのだ。
彼等はカルザイ議長が出てくると銃口を議長に向けようとあげかけた時に、瞬時にそれを察知したデブグル隊員に全員射殺されたのだ。
まさに神業としか言えない警護だった。シークレットサービスでさえ不可能と言われた史上最高の警護だった。
現在も警護の最高の手本として語り継がれている。