〜Stliker〜哀編(8)

焼き魚  2006-09-15投稿
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コンコン!
ノックをかけ、病室に入ってきた制服姿の女の子。結奈である。龍雅はゆっくりと起き上がり、目を丸くした。
龍雅「…お前は…。」
結奈は目を伏せ気味にして喋り出した。
結奈「…あ、あの時は…どぅも…。」
結奈はペコリと一礼した。
龍雅は黙って見ていた。結奈「あの…、名前なんて読むの?さっき病室の名札見たから…み…みねざき」
龍雅「…りゅうがだ…。よく言われるから気にするな…。」
結奈の右手には果物が入ったバスケットが握られていた。
結奈「…こ…これ良かったら…。」
龍雅はその仏頂面を変えることはなく横に置かれた果物を見ながら
龍雅「…包丁…あるか?」
結奈「ナ…ナイフなら…」
結奈はとっさに折り畳み式のナイフを取り出して龍雅に渡した。
龍雅はサッと刃を出すと両手で握り自らの首もとへ持って行こうとした。しかし、間一髪で結奈が全体重をかけてその軌道を反らし刃が突き刺さる事はなかった。そのまま龍雅を押さえこむ結奈。龍雅「…は、離せ!俺はもう…(畜生!この女、思った以上に力が強い!)」
結奈「…残念でしたぁ!アタシこう見えて柔道やってるんだぁ!いくら男が相手と言っても栄養失調気味なあんたには負けないもん!この前も力ずくで止めても良かったんだけど…。」
結奈は柔道部である。小柄でおとなしい性格なので勝ち星には恵まれないものの女の子にしては力が強い。
龍雅「…そうか…。」
龍雅は持ってたナイフを床に落とした。そしてうつむいた。
龍雅「…栄養失調か、俺もお前から見ればそうなるのか…てゆうかいつまで俺の上に乗ってるんだ?」
結奈は我に返り、顔を赤らめて素早く降りた。
結奈「ご…ごめん…。」
しばらく沈黙が続いた後結奈は落ちていたナイフを片付けた。
結奈「あ…あたし帰るね。今度、友達連れて来るから…。」
結奈が病室を出ようとした瞬間…。
龍雅「…そういえば、お前の名前は?」
結奈は振り返った。
結奈「あ…あたし?桜井結奈…。結奈でいいよ!じゃあね!」
バタン!!
龍雅は両手を頭の後ろで組み、天井を見上げた。龍雅「結奈…。」
龍雅はふと考えた。ここは地図上のどこなんだろうかと。普通の女子高生が見舞いに来れるということは普通の病院に違いない。それになぜ自分はカスリ傷程度の怪我しかしてないのだろうかと。普通、自爆すると即死に近い身体的ダメージをうける。謎は深まる。…続く。



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