ゼガは、一枚の紙をアスターに渡した。
「明日の出航…目的地、ここにして欲しいんだ。」
「おぅ、分かった、どれどれ…。」
そこには、
『ネモカタウン』
と書いてあった。
「本気で言ってるのか?」
アスターは思わずゼガを責めようとしてしまった。
「ネモカタウンって…確か強制労働施設があるわよね?」とスヨン。
「そこに父ちゃんがいるんだ。」
「お…お父さん?」
「マジ?」
2人は驚きを隠せなかった。
「さっき出かけたのは、カインさんと俺の父ちゃんの話をしてた。」
「…。」
あまりにも衝撃で、黙ってしまう2人。
「カインさん…俺の父ちゃんと仕事仲間だったらしくて、何度も俺の家に来てたから、俺の事が分かったらしくて…。」
「そうなんだ…。」
「みんなに迷惑かけて本当に申し訳ない…。でも、俺だけじゃどうにもならないし、2人に協力してほしい。」
「父ちゃんを助けてほしい」
涙ながらに訴えるゼガを見て、断る人がどこにいようか。いや、いない。
「もちろん…。ゼガの力になる。」
スヨンも一緒に涙を流してくれた。アスターも、
「俺も力になる。ネモカタウンだな。」
何だよ。さっきまで泣いてたのに。と、ゼガは少しながら思った。