ネモカタウン…。ただでさえ危険な大陸の中でも特に危険な場所。
街全域が強制労働施設と化し、各所から集められた老若男女が、永遠に出られることなく働いていた。
食事もまともに食わせてもらえず、施設内のあちこちに白骨化した労働者の死体が見られる…らしい。
主に武器を製造していて、ここから敵勢力へ武器を補給している。まぁ、ここ1つだけじゃなさそうだけど。
「みんな…ありがとう。」
「何言ってるんだ。仲間だろ。」
アスターは満面の笑みで笑いかけてくれた。
食事の後、作戦会議。
「これが、ネモカタウンの地図。侵略される前の地図だけど。」
随分埃が付いていたようだ。
「まぁ…ここに行きたいっていう人もいないから、この地図を出すのも久しぶりなんだよな…。」
アスターは埃を払い、
2人に見せた。
「港は隣のライザシティの方が安全だ。そこから、南下してネモカタウンへと向かう。ネモカタウンは、西が海、北、東、南三方を山に囲まれているから、北から攻めよう。」
「でも、警備が厳重でしょ?」とスヨン。
「俺が囮になる。」
アスターが…囮…。
「俺はまず北の関所から強行突破する。その隙にスヨンとゼガは、西へ向かえ。西に向かうと小さな小屋がある。守備の奴がいるが2人ならやっつけられるはずだ。中へ入るとロッカールームになっている。そこで2人は完全に着替えてなりすましてくれ。カードキーも忘れないこと。」
「なりすます…?」