高校3年の3月。卒業式が近づいてきた週末。
「卒業旅行…みたいな感じだよな!」
東京を日帰りで堪能(?)している4人。
皆、大学に合格し、4人は卒業旅行という体(てい)で、東京へ来ていた。
「でも、岬さ。前橋に引っ越すなんて、驚きだよな。寂しくなるよ」
「ごめん…こればっかりは。」
岬は、群馬の大学に合格。前橋に引っ越し、大学生活をするそうだ。
温厚な性格で、誰よりも優しい人。
甘え上手で、少しわがままな面もある。
岬に話しかけたのが、拓也。
東京の大学に合格。工学部に行くらしい。
クールに見えるが、熱い心を内に秘めている結構良い奴。
「そんな暗い顔すんなって。俺だって悲しくなるよ〜。」
泣き真似を始めた奴が、弘貴。
おちゃらけ野郎だが、頭がとてもよく、筑波大現役合格。
最後、何も話さないのが圭吾。高2からの友達なので、新しい奴。拓也とか弘貴のように、ずっと一緒のクラスではないので、岬は約2年付き合った今でも、圭吾の性格がわからない。
でも、どことない安心感を与えてくれるのは、圭吾だった。
楽しい卒業旅行…。
いい思い出になるはずだったのに。
あれからどうして、思い出は、
白紙のままなのだろう。