「ジグゾーパズル?最初のピース?俺達が?…俺達は、本当にたいしたやつじゃないよ。ただ、昔から平凡に生きてきて、ただ…なんとなく歳を取ってる、そんなつまらない奴らだよ…」
「そんなことないです」
美紀が、真面目な顔をして、首を横に振った。
「それを言うなら、私達だって、お金を稼ぐ手段として、この店で働いて…落ちこぼれて…きっと途方にくれていたと思う…歳を取ったから相手にされなくなって…だけど、首になりかけてたのに、あなた達に出会って、変われたんだよ!私達。…だから、この先、義さんや哲さんと、私達がこの仕事を辞めたとしても、何か出来たらと思ってる」
「何か出来たら?」
「うん。趣味とか遊びとか、いろんな何かを!…だからね、お二人には、その中心にいて欲しいの」
美佳もうなずいた。
「私もそう思う。
お二人に出会わなかったら、私きっと、趣味ももたない、駄目なまま、いたと思うから…」
「だからね…この先義さんと、哲さんに引きつけられて、きっと、平凡に、何もないまま生きてきた人達や、どん底の人達が、変われると思うんだ。そのピースの中心に二人がいてくれれば、私達が埋めていく…きっと、お二人は、運命的な出会いをして、その都度ピースが埋まっていくと思う。」
「…なら、ど真ん中は、義で決まりだなあ…もし二人との出会いがそうなら、お前が、この店を選び、二人を指名したんだから!こうやって、様々な出会いのきっかけを、作ってるのは、お前だし…」
「俺が?夢を見て、そんな思いにもっと追求してこなかった俺がか?」
「遅くはないさ!現に、こうやって、二人の仲間が出来たんだから!」
「そうですよ!私達は、集まって、悪いこととか、人に迷惑をかけるとか、そんなことがしたいんじゃなく、ただ、馬鹿を言い合えて、本音を言い合える仲間が欲しかったんです。
きっと、義さんや哲さんが、そうだと思うから、そう言ってるんです」
美紀の言葉と、哲次の言葉に、義則はやっと決意した。
「なら…このジグゾーパズルを埋めていくか!損得抜きに、本音を言える仲間を増やせるかわかんないけど…」
そして、義則達は、店を後にした。
…その時、さっきまで話題にしていた、琢也と、俊作とすれ違った。