小川さんは立ち上がると僕に背を向けてこんなことを言った。
「ねぇ、鹿島くんってさ…あたしのお姉ちゃんに会った?」
僕は首を傾げながら
「お姉ちゃん?」
と、答えた。
すると小川さんは僕の方を向いて笑いながら
「この間、街で女の子にぶつからなかった? あの子だよ、あたしのお姉ちゃん。あたしによく似てるでしょ?」
確かに僕はあの時女の子にぶつかった…
しかし…そこまで似てないような…
「確かにあの時ぶつかったよ、でもマジマジと顔見たわけじゃないからわかんないよ」
と、ごまかした。
小川さんは そっかぁ とか言ってまた後ろを向いた
しばらく無言の状態が続いたが、僕はあることに気づいて口を開いた。
「…そういえば何で僕がぶつかったってわかったんだ? あんなたった一瞬の出来事のようなものだったのに」
そう言うと、小川さんはポケットから何かを取り出して僕に差し出した
「これ、落としたでしょ? それでわかったの」
彼女がポケットから出したもの
それは…