〜第5話・心を許せる人・〜
人がいない静かな喫茶店。そこにハルヒと海斗はいた。
「はぁ..つっ疲れた...」海斗が深いため息をつく。私も疲れたっつぅの...
「いらっしゃいませ」
優しそうなお兄さんが笑顔でメニューを置いた。
「いつもの!」
「私コーヒー」
「かしこまりました」
「ねぇハルヒちゃん...あの人いくつに見える?」
海斗が小声で話てきた。
「25」
「45だよ」
「え!!」
ハルヒは凄い形相で驚いた。
「見えないよねー(笑)」
....てか何してんの私
「あ!そういえばごめんね!いきなり」
「いえ...てかなんで名前知ってるんですか」
「入学式で見かけて、気になったから...」
海斗は照れながら言った。
「そうですか...」
なんだろ...この人...
ハルヒは胸が熱くなっている事に気がついた。
嫌じゃ...ない..
この人といるの..やじゃないかも...
でもハルヒはすぐに思い出した。
ダメだよ私。人を信じちゃ...。こいつだって裏切るんだ...
「どうしたの?」
「え?」
「ボーッとしてるから」
「いや...何でもないです」
「そういえば、ハルヒちゃんっていつも一人だよね?」
「え....」
「教室にいる時も、移動の時も、お昼の時も...一人だよね?」
「なんで...知ってるの?」
海斗は真剣な顔になった。
「ずっと見てたから、ハルヒちゃんの事....いつも...見てた」
「え....」
ドクン
その言葉を聞いた時、ハルヒの心が強く鳴った。
見ていてくれた....私の事を....
きっと私..誰かに気に掛けてほしかったのかもしれない.....
私...寂しかったんだ...
ハルヒは涙をこぼした...
「ハルヒちゃん?!」
海斗は慌ててハルヒの隣に座った。
「ハルヒちゃん?」
「ありがとう...」
ハルヒは涙を流しながら言った。
「ありがとう..ありがとう」
「ハルヒちゃん」
ハルヒは何度も何度もお礼を言った。
海斗は黙ってハルヒの頭を静かに撫でた。
「俺...ここにいる」
海斗の声が、静かなお店に響いた....
つづく