「勿体無い。」
第一声。
「どうしよう。」
第ニ声。
「勿体無い。」
第三声。
リアは先程の飴細工をどうするべきか結構真剣に考えていた。
とても繊細且つ綺麗に輝く飴の外形、欠片。
早く口にしてみればいいのに、とレクスは言ったが、リアはなかなか口をつけようとしない。
しばらく悩んだ後、一口舐める。
「……!…甘い……。」
リアは呟くように小さく言った。
「口に合わなかった?」
レクスの言葉に首を横に振るとおいしいよ、と笑顔で言った。
「いる?」
リアのさりげない一言にレクスは口角を上げた。
「でもそこまで甘いのは苦手だから…」
「そんなこと一回も聞いたことないわよ。それにそこまでじゃないし。どちらかと言うとさっぱりして…」
そこで唇を彼のそれで塞がれた。
「……っ!?ん…ぁ……」
レクスはほんの少し唇を離すと、リアの上唇を舐めた。
そのもどかしい感覚に身を捩らせる。
「レクっ……!んっ……!?」
「たしかに甘いね。」
「っ……はっ……」
リアは息を荒げ、レクスに身体を預けた。
いつの間にか彼の手に飴があった。
「あのままだったら落とすこと間違いなしだったでしょう?」
いつもと違わぬ態度で飄々とそう言うレクスが少し悔しくて、リアは自分から口づけした。
少し息を呑むような気配が面白かったが、これ以上すると危ないと気付き、止める。
すると彼はすぐに離してくれた。
そして優しく微笑む。
「飴食べながらでいいから行こ?」
リアはそんなレクスの言葉と手をすぐとるのだった。