友達の話です。
その子には、行方不明になった″まいちゃん″という幼馴染みがいました。
まいちゃんは、一人で下校している最中に、何者かに連れ去られたと思われていました。
まいちゃんの両親は自らビラを配ったり、方々手を尽くして探したけれど、見つかりませんでした。
友達も随分心配したそうです。
そのまいちゃんが、行方不明になってから何年も経って、ある日ひょっこり戻って来ました。
両親は大層驚きました。
大きくなったまいちゃんは、見違えるほど綺麗で、健康そうだったそうです。
友達は、つい、聞いてしまったそうです。
｢あなた、本当にまいちゃん？｣
まいちゃんは笑って、
｢証拠を見せましょうか？｣
服を捲ってみせました。
まいちゃんのお腹には、十ヵ所以上も刺された後がありました。
まいちゃんの母親が、まいちゃんを殺そうとした傷です。
どうやって逃げたかは、まいちゃんは覚えていないそうです。
もうすぐ時効になってしまうということで、やっと虐待していた両親を訴える決心がついて、帰って来たそうです。
けれど、そんなに刺された人間が生きて帰って来れるのでしょうか？
友達にもそれはわからないそうです。
まいちゃんの両親は、黒い車に乗せられて、それきり見かけた人はいません。
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