その後も二人で色々まわった。
そこでレクスが気付いたことは、リアはふわふわのものが好き。
ぬいぐるみも売ってあるただの布も歩いてる犬猫も触りに行く。
たしかに可愛らしかったが限度というものがある。
リアの気付いたことは、レクスは二つの顔をもっているらしい。
人々の態度が人によって違うのだ。
飴をくれたおばちゃんは彼に対して嫌悪感は持っていなかった。
それと対象に宝石類を扱っていた人は明らかに嫌悪していた。
彼はそんなのどこ吹く風と嫌味を嫌味で返す。
正直呆れるほどの幼稚な口喧嘩。
なんてお互い色々思いながら帰る。
「ねえ、レク。」
「ん?」
「今日はありがと。楽しかった。ホント幸せだね、私。」
お互い手を繋いでゆっくりと歩く。
不意にリアが止まった。
「?」
リアは俯いて自分から手を離す。
「リア?」
何も言わない。
「貴方は帰ってきてくれたのね?」
おかしい。
何かが違う。
「ずっと待ってたわ。」
レクスにそっと抱きつく。
(リアじゃない!)
心が騒ぐ。
でも押し離すことはしない。
「彼女」の背に手を回した。
「君は誰?」
耳にそっと囁いた。
「何言ってるの?」
――ディル。
「彼女」は「リア」だけど「リア」ではない雰囲気を纏い、「リア」ではない笑みを浮かべた。
「…ルカ……?」
レクスがそう呼ぶと「彼女」は嬉しそうに笑った。
「よかったぁ!覚えててくれたのね。私、貴方にずっと会いたかったの。でもね、ちょっと我慢できなくて会いに来ちゃった。」
「リアは?」
リアの名を出すとルカから笑みが消えた。
そっと離れる。
リアでさえ見せたことのない顔でレクスを、ルカにとってはディルを静かに読めない表情で見つめた。
「そんなにあの娘が大事なの?私がいながらリアね。また私を捨てる気なのね。裏切り者!」
あの表情とは一変して、怒った表情で睨み上げる。
「何で私だけを見てくれないのよ!!ねえっ!!どうして!?」
ルカはそう叫びながら泣き出した。
(埒が開かない。)
俯いて泣く「ルカ」をよそに「リア」の身体を抱き寄せる。
「リア!起きて!リア!リア!!」
「うるさい!!」
ルカはレクスを押し離すと一定の距離を取った。
「ねえ、私だけを見て。教えてあげる。リアはね――。」
ルカは笑って哀しい言葉を紡いだ。