「お前さんのそれは間違いなく神の武器だ。…剣は最北の大国フォルスの王が所有すると言われている」 リシュアの顔が曇る。
「しかも、フォルスは隣国三国から侵略攻撃を受け、今はその三国と共に滅び最北の地は廃墟と化したと聞く」
男はうつむいて拳に力を入れて何かに耐えているリシュアを見つめた。一瞬泣いているのかと思ったが、次に見せた顔には凛とした気高く澄んだ瞳が男を見つめ返していた。リシュアは机の上の食事をよけて剣をそこへ置いて落ち着いた声で話し始めた。
「確かにこれはフォルス国王の剣だったものです。私はリシュア=ラズフェルン、フォルス国王の末娘。王国最後の大戦で唯一の王族の生き残りです」
リシュアは父王の剣を切なげに見つめ片手で鞘の紋章ににふれた。