結婚が決まった姉に、親友だと言う女友達からメールが届いた。
『おめでとう!
まだ先だと思ってたのにな…
えーん、寂しい。
なんてね。
ん、親友だもん、祝福するよ。
てれくさいね、こういうの。
しあわせになってね。
ね。絶対だよ!』
姉は、彼女らしいな、とニヤニヤしながら返信を打ち始めた。
「中学からの友達だっけ、その人?」
「そう、委員長とかしてて、面倒見はいいんだけどね。
縁がなくて、まだ独身なの。」
『かんたんじゃないと思うけど、
わらわれないように努力します(笑)
いじけそうになったら、また
そうだんしちゃうかも。
うそうそ。
なんとかやってけると思う。
女友達に頼ってばかりじゃ駄目だもんね。』
式の当日、その人は黒いドレスで現れた。
姉はとても喜んで、二人は抱擁した。
その最中で、笑顔だった姉が急に真顔になり、やがて苦悶の表情へ変わった。
姉の白いドレスのお腹の部分に、ケチャップを溢したような赤い染みが出来ていた。
女は気が狂ったように何度も姉を刺して、訳のわからない事を叫んでいた。
それは側で見ている人達が女を取り押さえるまで続いた。
新郎が姉に駆け寄り、血みどろの体を支えた。
「しっかりしろ!!死んじゃだめだ!」
姉は血が抜けて寒いのか、力が入らないのか、ぶるぶる震えながら唇を新郎の耳に寄せた。
「おまえも呪ってやる」
後で聞いた話によると、姉を刺した女は新郎の浮気相手だったらしい。
女はその後、精神病院へ送られたが、間もなく首を吊ったそうだ。
新郎の方は、実のところ、姉の死後、私と付き合っている。
お互い辛い事を乗り越えて幸せだけど、最近、誰もいない場所から視線を感じる…