圭吾は起きていた。
「…岬か?」
「うん。」
「そこ座れよ。」
岬は、恐る恐る指定されたイスに座った。
「オノを…拓也の部屋に移動させたのって、圭吾?」
…怒られるの覚悟で聞いてみた。
「そうだけど。」
「どうして?」
すると圭吾は、ゆっくりと岬を凝視した。
なんか、背筋に衝撃が走った。
「岬と、拓也と、弘貴は、高校入学の時から仲が良くて、俺は2年から仲良くなっただろ?」
「…うん。」
「1年遅いから、俺はみんなに何とか気に入られようと頑張った。その中でも岬は、岬の方から俺に話しかけてきたし、特に岬と仲良くしたいって思うようになって…。」
過去を振り返る圭吾の目に、涙。
「でも岬は、やっぱり拓也や弘貴の方に行ってしまうのが、俺つらくて…。俺頼られてないのかな…とか思うようになって…。」
岬の顔も、徐々に曇っていった。
「俺は、拓也や、弘貴みたいになりたかった…。もっと頼られてみたかった…。」
「だからやったの?」
圭吾は頷いた。
「拓也、弘貴を羨んでいる気持ちが、恨みに変わった。」
その言葉は、あまりにリアルだった。
自分が、友達をこんなに追い込んでいたなんて、知らなかったから。