その衣装とはグレーのヒラヒラのミニスカートと、前に「9」の文字がプリントされているタンクトップだった。
タンクトップはプリントが一部剥がれ、スカートは裾の辺りが解れていた。
「これくらいなら直せるな。」
俺は裁縫道具で解れを直した。
直し終わると、
俺はこの衣装を着たくなった。
そこで更衣室に行かずに衣装部屋の奥でこっそりと着替えた。
「これでよし。」
俺はその上から制服を着て衣装部屋から出た。
部屋を出ると辺りは暗くなっていた。
夕闇が迫る校舎、俺は小走りに校門の外に出ようと急いでいると誰かとぶつかってしまった。
「あ、イテッ。」
顔を上げるとそこには校内一の不良の田端真司(タバタシンジ)の姿が…。
「あ、すみません…申し訳ありませんでした。」
俺が怯えながら謝ると、
「よぉ、裕美ちゃんじゃねぇか? そんなに急いでどうしたん?」
田端は身長180cmを越す大柄な男なので、俺を上から見下ろしながら睨んでいた。
「いや別に…。 もうすぐ下校時刻だから。」
「んっ?」
田端は俺の制服のズボンの腰回りが膨らんでるのに気がついた。
「おい、裕美ちゃん…お前のズボンおかしくないか?」
俺はすぐ動揺して、
「いや、な‥何もないですよ。」
「怪しいな、ズボン脱いでみろよ。」
「えっ、嫌ですよ‥。 こんなとこじゃ恥ずかしいから。」
「いいから脱げよ! ここじゃ恥ずかしいんならこっちへ来い!」
田端は俺の腕を力強く掴むとすぐさま校門を出た。
そして近くの廃墟になった工場に連れ込んだ。
そこは不良の田端のアジトなのか中に入るとテーブルとソファーがあり、
田端はそのソファーに座ると再び、
「制服脱げよ!」
と要求した。
俺は仕方なく制服を脱ぎ始めた。
シャツを脱ぐとさっき着たタンクトップが‥さらにズボンを脱いだらグレーのヒラヒラのミニスカートが‥。
貴司に見せるために着た女装姿を披露した。
「ほぉ〜、裕美ちゃん‥そそる格好だね? 実は俺もお前のファンなんだよ。」
田端は興奮してる様子だった。
俺は相手が校内一の不良だけど、自分のファンだと言われると‥
「俺、いや私…田端くんにファンだと言われてすごく嬉しい。」