?絵の無い絵本?

亜樹  2006-09-16投稿
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昔昔の事じゃった。

裏の山にな、巨大な龍が住んでおったそうな。

龍は、悪い事をする人を食らい、雷を鳴らし、それは恐ろしい存在だったんだと。

村人達は、大変恐れてな。
神社を建立して、龍の怒りを鎮めるべく、祈ったんだと。

寝ながら聴いていた子供が…
「でも、悪い事をしなければ龍は暴れないんでしょ。」

その通りじゃ。

歳老いた父は、話の続きを始めた。

人の心は弱いものじゃ。

何時でも、正義感を持たなくてはならんのじゃ。

「じゃあ、爺ちゃんって悪人何だね。」

とんでもない事を言うと龍が食べに来るぞ。

「でも…」
「爺ちゃんの背中に龍が食い付いて居るじゃん。」

此れは、刺青じゃ。悪い事なんか…

隣の部屋から、若い妾の笑い声が聞こえてきた。

「もう少しで、寝かし付けるから〜」

外では、雷が鳴り、月明かりに、巨大な影が横ぎって行った。

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