嫌になる。
本当に。
空は赤いし――
どいつもこいつも着ぐるみばっかり着やがって。
おまけに体は動かねぇ。
――もう
死ね。
僕が初めて
彼女に出逢ったのは、
薄暗い路地裏のごみ捨て場だった。
積まれたごみの山から、
黄色いモフモフの掻爪が
天を衝いていたのを
今でも鮮明に覚えている。
僕はそのモフモフに手を掛け思いっきり引き抜いた。
――ごみに
埋まっていたのは
それは――
――怪獣だった。
真っ白な鱗
黄色い脚
背中にはとげとげ。
そして
開いた口から覗くのは
顔だった。
整った少女の
顔だった。
僕はそこでようやく
それは怪獣ではなく
怪獣の着ぐるみを着た
少女なのだと気がついた。
全身が隠れるタイプの
着ぐるみではなく、
顔だけ外に露出するタイプのそれだった。
着ぐるみ姿の少女は
じっと僕を見ていた。
そして一言
「どいつもこいつも
着ぐるみばっか、
着てんじゃねー!」
叫んだ。