ROOM 19 〜絶望〜

るーROOM 2012-01-26投稿
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オノで、弘貴は首に深い傷を負っていた。岬は、その傷を直視できず、ただ泣いていた。

どれほどの時間が経ったか。ドアをノックする音がした。

岬はふらふらになりながらも立ち上がって、ドアを開けた。

そこには拓也。

「朝飯…作ったから食おう。」

岬は首を横に振った。あまりにも残酷な現実を、受けとめられないでいた。

「いらない…。」

閉めようとする扉を、拓也は押さえた。

「まだ、ひとりじゃない。」

「…。」

「俺と、圭吾が…いるんだ。」

「…拓也…でも、」

「俺らを信じてくれ。」

閉めようとするドアが、徐々に弱くなった。

「俺が今1番恐れていることは、弘貴が死んだから、岬も死んでしまうことだ。」

拓也は熱くなっている。岬の、泣いている意味が変わった。

「それが、俺と圭吾には1番つらい。」

「…。」

「オノが移動した時も、どれだけ岬に助けられたことか。」

「…。」

「今度は俺たちが、岬を助ける番だと思う。」

拓也は、岬を弘貴の部屋から出した。

岬は、顔が涙で濡れていたが、拓也の顔を見てしっかり、「ありがとう。」と感謝の気持ちを伝えることが出来た。

拓也も、弘貴の死を全く悲しんでいないわけではない。

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