プロローグ
様々な焼けた匂いがする、草が焼けた匂い、木が焼けた匂い、鉄が焼けた匂い、そして人が焼けた匂い…。
数時間前は確かにそこは街があった。
万単位の人が居たが、その場所は一面焼け野原と化していた。
少し離れた所に、少年が一人、手を合わせ微動だにせず立っていた。
少年の前には数万にも及ぶ墓があったが、ただ木が挿してあるだけの墓だ。
その少年はまるで死者を敬うかのような黒いコート、ボサボサの黒い髪、今の彼には黒しか映らないであろう黒い瞳、そして手を合わせていた右手の手のひらは黒く変色していた。
少年はは拝み終えた後、足元にある荷物を左肩に掛け黒いフードを被り呟く
少年「みんな…師匠…行ってきます…。」
まるで何かの決意表明のように、ここから何かを初めるかのように呟いた。
そして少年は灰色になった街を歩く…。
少年「ここに戻って来る頃には世界はどうなっているかなぁ…。」
そう呟いた少年の後ろ姿は心の体も黒く染まり復讐を誓かった死神のようだった…。