1つ
また1つと床がへこんでいく
「当たらないな」
やれやれ、と溜息をつくと大輔は右手だけでなく、全身を岩石化し始めた
「マズイな……」
岩石を鎧のように纏った大輔はどんどん巨大化する
「神那!貴様を踏み潰してやる!」
アリーナじゃ、死んでも文句なしなんだから参ったな
「うおぉぉぉぉぉ!」
本当に踏み潰されそうだ
「能力、使うか……」
-数ヶ月前-
「君が、編入生の神那君だね」
そうじゃなきゃ誰なんだ、とは言わずに、はい、と真面目に答える
「僕は君の担任の十乃杏吾、よろしく」
差し延べられた手を握り、あいさつをすませる
「とりあえず、能力を測定しようか」
そう言った十乃に保健室へ連れていかれる
保健室には誰も居なかったが、部屋の真ん中にはゴツい機械が置かれていた
「じゃあ機械に腕を通して」
よく見ると血圧計みたいだな……、なんて思いながら腕を通す
すると十乃がボタンを押し、しばらくしてディスプレイに[Error]と表示される
「あれー?おかしいなー?」
十乃がもう一度ボタンを押すと、今度は正常に稼動する
「何だったんだろうなー?」
「さぁ……」
ディスプレイに[OK]と表示され、紙が出てくる
十乃がそれを見て「おぉ……!」と感嘆の表情を見せる
腕を抜いて紙を見ると能力について書かれていた
記憶していて、一度倒したことのある相手の能力を使用する事が出来る能力
「記憶力に自信あるの?」
「まぁ、一応」
俺はこの能力を
-現在-
「な、に……?」
俺は素手で大輔の足を受け止めていた
大輔を倒す前、色んな不良が喧嘩を売ってきたんだけど、その中の一人の能力が肉体強化だったので、それを使ったのだ
「こっちの番だ」
これも不良の能力、手の硬質化と肉体強化を組み合わせて、大輔を殴る
「があぁぁぁ!」
岩石の重みだろうか、一撃で崩れる
俺は瞬時に大輔の上に乗り、拳を連打する
「もう終わりか……」
あっけなく、俺は勝った
俺は司導神那、memoryの能力者だ