「サリ!どこだ!出てこい!」
コウは走り回ってサリを探した。
『なに?』
「うわ!!」
突如、背後からサリが現れた。
「ビックリさせんなよ!」
『普通に登場したつもりなのに…で、何?』
「あ…」
さすがに、先程あんな事を言った後じゃ言い辛い。
生唾を大量に飲み込む。
「……宇宙を…守りたい…」
『うん。ありがとう』
サリの言葉はやたらあっさりしていた。
「…文句とかねーのか」
『君の事信じてたもん。ねぇ、リーサ』
リーサと呼ばれ、白蛇が舌をチロチロと出した。
『じゃ、始めようか』
「…何をするんだ?」
『君は今、魂…無機質の状態にある。“人間の肉体”の時より力は存分に発揮できるけど、アダムを倒すことは出来ないレベルだ。それに魂のままだといずれ成仏しちゃう…だから有機質と融合するんだ』
「はぁ?」
サリは、車にひかれたのか路上で死にかけている鳥を手の上に乗せると、コウの腕を掴み人気の無い林へと移動した。
『今からすることは人に見られちゃまずいからね。半有機質だと見えちゃうから…』
「よく分かんねえんだけど…」
『君には今からこの鳥と融合してもらう』
「はぁ!?」
『そうすれば君は半有機質となる。つまり君は有機質と無機質…生と死を超越した存在となる』
サリは右手に鳥を持ち、左手でコウの頭に触れた。
その瞬間、辺りが光に包まれたかと思うと、コウの身体中に酷い激痛が走った。
「ーーー……っっ!!」
気を失いそうになりながらもコウは必死に痛みに耐えた。
痛みから覚めた時、コウは背中から生えた片翼の存在に気付いた。
「な…っ」
『成功だね!融合した鳥の翼が片方残ったみたいだけど』
「…今の俺は…その…半有機質ってやつなのか?」
『実感無いだろうけどね。でも基本的には普通の生きた人間と同じだよ。宇宙空間では酸素無しでも平気だけど』
「…顔と体も翼以外は生きてた時と変わらないんだな」
『うん。……これからの話してもいいかな?』
「…ああ」
コウは深呼吸をした。
『まず、これからはメリード星という所を活動の拠点にするよ…アダムは復活したけれどまだ力が十分じゃないから、しばらくはアダムの部下達が宇宙侵略活動をする…だからいつでも各星に出動出来るように戦闘力が豊富かつ通信・交通技術共に優れてるメリード星を選んだ』
コウはサリの言葉の一つ一つを噛み締めるように聞いた。