6月。梅雨まっさかりだ。
秋穂が大学生になり、3ヶ月がたった。
一人暮らしにも慣れ、そろそろバイトでもと考えている。
「秋穂、これは?駅前のカフェ週3日から。時給850円。かわいい制服だって。ここのカフェの制服、可愛くて評判なんだよ」
友人の夏美が、学食で秋穂にアルバイト雑誌を見せる。
外はどしゃぶりだ。
夏美とは入学式で知り合い、学科も一緒のために仲良くなった。
大学の近隣に実家がある夏美は、地方出身の秋穂に色々なことを教えてくれる。
ネイルやつけまつげ、ピアスなどを付け、オシャレには気を使っている印象だ。
「うーん…イマイチ。こんなの着れないよ」
秋穂は写真を見ながら言った。
どちらかというと、女の子らしい格好は苦手だ。
何となく、表より裏方で働く方が自分に合っていると思っている。
「清掃員とか、コールセンターが良いかな。」
秋穂は目星をつけた所を指さして言った。
「えー。秋穂スタイル良いし似合うと思ったのに。せっかくの女子大生が生足出さなくてどうすんの。」
夏美は自分の茶色い巻髪をくるくるさせながら言った。
ミニスカートにニーハイ。いかにも女の子らしい。
一方、秋穂はパンツスタイルだ。
流行にうといからか、田舎から出てきたオーラが隠せない。
結局、その日は条件に合ったバイトは決まらなかった。