「もう喧嘩売ってこないでくれよ」
割と切実なんだから
ただ、大輔に聞こえてるかは分からない
気絶してるかも
「まぁ、良いか……」
大輔をそのままに、俺は体育館を出て寮に向かう
寮に着けば待っていたのは質問の嵐だった
「また大輔に勝ったのか!?」
「一体どんな風に!?」
「そもそも能力は何なんだ!?」
男子寮だから暑苦しいのは分かるが、流石にうるさい
「………殴ったら勝った」
間違いは言ってないし、質問には答えた
しかしうるさいのは止まなかった
やれやれ
「寝たい」
ボソリと告げ、少し睨むと、すぐに静かになった
最初からこうすれば良かったな
部屋に入り、扉の鍵を閉めると、ベッドに倒れ込む
「……疲れたな」
気づけば寝ていた
「防御班を増やせー!」
「回復班は攻撃班の治療を急げ!」
「なんとしても食い止めるんだ!!」
ガタガタうるせぇんだよ
「ぎゃあ!」
次々と沸いて来るカス共を潰すのは気分が良かったが、流石に数が多い
「止まれぇー−!…がっ!」
止まらない攻撃
爆音
悲鳴
あぁ、もうダメだ
「………めんどくせぇえぇぇぇぇぇ!!!」
咆哮と共に駆け出す
見える全ての敵がまるで溶けかけの雪のようにグチャリと潰れる
グチャリ
グチャリ
まさに地獄絵図
俺には天国だけど
「……テメェで最後か」
どうやら重力操作の能力らしいな
平然と立ってやがる
「私の命に代えても、ココで貴様を殺す!」
初老の男が叫ぶ
ククク…、ジイさん
「それ、死亡フラグって言うんだぜ?」
俺の言葉には耳も貸さずに、俺にかかる重力を強くする
「潰れろぉ!」
ただ、俺にはきかない
「ジイさん……さよならだ」
ゆっくりと歩き、ジイさんの前に立つ
「くっ……ここまでなのか」
その老体でよくやった方さ
「勇敢なジイさんに、乾杯」
老体が弾けた