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手首の傷痕を眺める。
無意味な勲章。
自分を取り戻す為の自傷行為。
ただ、叫ぶ術を持たないだけとも言える。
私は理由を見失っていた。
愛する理由。
愛される理由。
生きる理由。
誰に手を差し出されても、私にとっては全て偽善に満ちた戯れ言でしか無かった。
上っ面だけの付き合い。
恋人も家族も私の本質を見てはいない。
私は此処に実在しているが誰も私を見ていないのなら存在としては無だ。
私は鏡に写る自分と歪に盛上がった傷痕を交互に眺めた。
時間がゆっくりと過ぎて行く様な感覚に囚われ。
携帯が着信音を響かせている事にも気が付かなかった。
『結衣。携帯が鳴ってる』
隣の部屋の弟が叫んだ。
視線を携帯に向ける。
着信が2件、メールが1件。
発信先は何れも同じ。
掛け直すつもりは無かったのでメールを開いた私は添付されていた映像に絶句した。