ここは、太陽系外の殖民惑星。
顕微鏡をのぞく科学士官の少佐がそこにいた。
「私の研究成果がッ――」
何と、顕微鏡の取っ手部分が自分の首に巻きついたのだ。
「ぐがッ!」
拳銃を手に取り、顕微鏡を破壊した。
「なんだこれは?」
司令部に報告した少佐は、副司令官とその他兵士・将校・下士官が犠牲になっていることを聞いた。
「この惑星を脱出すべきです」
この提案は、すぐさま呑まれた。
そして、この奇妙な出来事の原因が判明した。
この首に巻きついた顕微鏡は、『コピー能力を保持し、実体をもたない』エイリアンだった。
つまり、その物をコピーし、自分自身で人を殺すのだ。
そして、自分達のテリトリーを侵された彼らは、反撃に乗り出した。
「地球軍に救援を要請しました」
地球艦隊の巡洋艦が迎えに来てくれるそうだ。
その時間は
『今日の1300時』
「ただし、『衣類はもちろん、その他一切のモノを保持すること』を禁じます」
全裸の状態で巡洋艦に乗り込むのだ。
最悪な事態になってしまった。この星には生命体がいないハズだったのに……
少佐を先頭に研究部隊は歩き出した。全員、真っ裸だ。
男性しかいないので、そこまで問題はないのだが……
極寒の惑星であり、零下8度を指していた。
巡洋艦が宇宙港に到着した。
現在時刻、1235時。予定より25分も早い。
気温16度の冬の惑星であるため、
「寒さに耐えるよりはマシだな」
と司令官が言い放ち、巡洋艦に乗り込んだ。
1301時。
少壮気鋭な男が、1隻の船を降りた。
「司令官閣下は、まだかな?」
その男は呟いた。
「少し遅れたくらいですので、絶対にいるはずです、艦長」
その副官らしき男は、艦長と呼んだ男を見つめた。
「まだか」
艦長たちがいくら待とうと、少佐たちがくることはなかった。