「嶺臥、です」
「神奈だ、よろしく」
よろしくお願いします、と目の前の男は頭を下げる
-数分前-
生き残りの男について知りたいな
誰か知ってる奴……教師か?
教師を捜して辺りを見回すと、十乃杏吾が歩いているのを見つける
「十乃先生」
「あ、神奈君!どうしたんだい?」
大人とは思えないほど屈託のない笑顔で、十乃杏吾は振り返る
「実は、No.7の生き残りについて知りたいんですけど…」
へぇ、と十乃は珍しいものを見るような表情になる
「神奈君が他人について関心をもつなんて、驚きだなー」
そんなことを何度も繰り返しながら、十乃は俺に生き残りがどんな人間かを話す
すると、ふと思いついたように表情を変える
「そうだ!実際に会ってみると良いよ」
-現在-
そして今に至るのだが……
「……」
「……」
どちらも沈黙を守り、場は静寂以外には形容し難い
このままでは埒があかない
「……嶺臥君はさ」
「嶺臥……で、大丈夫です」
前にも似たような会話をしたことがある気がする
「じゃあ嶺臥、幾つか聞いても良いか?」
「はい」
「まず、君の能力は何だ?」
すると嶺臥は目線を逸らし
「……分かりません」
静かにそう告げた
「えっ?」
「だからっ、俺の能力は分からないんです」
「どうやら、No.6もやられたらしい」
「6も!?しかし、あのAbilitySchoolの校長は重量支配者で、10校長の中でも1、2を争う実力のはず!」
「それでも壊滅したなら…俺達、生徒達はどうなるんだ」
重い空気が流れた
「そうか、嶺臥も俺と一緒なのか」
「えっ?神奈さんも編入生なんですか!?」
「あぁ、言ってなかったっけ」
自分はさん付けで俺を呼ぶのか……とは言わない
「それで、能力測定する時に男が現れたのか」
「はい、校門を蹴破って堂々と」