校門を蹴破る……?
確か校門…、というかAbilitySchoolを囲う塀は全て特殊合金(ダイヤモンドと純銀と鋼鉄を一度溶かして調合したもの)で出来ていた
故にダイヤモンドカッターでも、鉄球でもかすり傷一つつかないはずだ
それを蹴破るなんて、正直信じがたい
「本当……なのか?」
「皆そう言うんです」
でも本当なんですよ。と、嶺臥はどこか寂しく…笑った
「手遅れだったか」
俺は地面にそっと触れる
「………聞かせてくれ」
死者の魂よ痛みを叫べ
亡者の意思よ涙を流せ
我は聞く者なり
汝話す者なり
双方はまさに武士と鍛冶
汝が恨みを刀としてうったなら
我、ただそれにて敵を斬らん
我は知らぬ者なり
汝知る者なり
我は動けし者なり
汝動けぬ者なり
立てぬ者あらば立てる者が支えるが理
知る汝は敵を知らぬ我に
動ける我は動けぬ汝に代わり恨み果たそうぞ
「アビ…ィス……ル…ンバ…6」
「分かった、後は任せて、成仏しろよ」
俺は南無、と手を合わせると、走り出した
「嶺臥、もう少し質問、良いか?」
「はい、なんでしょう?」
「その服装は何だ」
嶺臥の服装は奇妙だった
口が隠れるほど襟が高い赤いロングコート
袖は肩から破れていて、包帯を巻いた両手が露出している
ジッパーは黒で腰まで、銀の十字架で開け閉めするらしい
ベルトを締めた腰から下にかけてあるスリットからはこれまた黒のデニムが見えている
靴は黒地で側面に赤い縦のラインが入ったブーツ
また、腰の両サイドには短剣をぶら下げている
「この服装は…まぁ、気にしないで下さい」
話したくない、ってわけか
「質問はそれだけですか?」
「あぁ、まだあるんだ」
はぐらかされたが、ここで食いついても変なだけか
「知ってるかどうか聞きたいんだ」
「………何をですか?」
「6年前の地下鉄事故について」
「………」