―私の手のなかにあったのは
赤いナイフだった―
ある森の中でのこと
二人の男女がなにかを抱えていた
「……………」
「ごめんなさい…鈴(すず)」
二人がそっと崖の近くの草の上に置いたのは
まだ3歳ぐらいの幼い少女だった
二人は寝ている少女を起こさないように静かに立ち上がり
少女を置き去りにして森から出ていった
数分後少女は寝返りを打ってしまい崖から転げ落ちてしまった
そのさらに数分後一人の少年がその少女を見つけた
「女の子?」
少年はなぜこんな森の中に女の子がいるのかを不思議そうにしてその少女が怪我をしていることに気付いた
「頭から血が…きっと崖から落ちたんだな…」
少年はポケットから水の入った容器と布を出し
濡らした布を少女の頭の上に乗せた
幸い低い崖だったので傷はさほど深くはなく少年は安心した
そして少女の首にかかっていた鈴と彫ってあるプレートがついたネックレスらしきものを見付けた
「んっ?名前かな?……鈴(りん)って読むのかな?」
その後少年は少女の頭の血を止血しながら悲しそうに少女を見つめた
「もしかしてこの子も親に捨てられたのかな…」
少年はいきなり立ち上がると
少女を抱き上げ歩き出した
少女の頭に刺激を与えないようにゆっくりと