-6年前-
「追え!絶対に逃がすな!」
くっ、しつこいなまったく
「弾けちまえ!」
俺は追っ手の周囲の空気を操作し、肺に、胃に、とにかく詰め込む
「ぐぼっ、げぶるぁ!」
溜まった空気に耐え切れずに身体が破裂する
「………当分はお肉食べられないなー」
「とにかく逃げるしかないな」
地下鉄が良いか
俺は階段をジャンプでショートカットし、改札もまたジャンプで越える
「あ、ちょっと、君!」
駅員さんが呼んでるけどそれどころじゃねぇんだ
後ろを確認しながら俺はホームを走る
ドンッ
前を見てなかったせいで、メガネのサラリーマンにぶつかった
しかしそれは問題じゃない
俺は今線路に立ってる
「TheEnd、か」
運の悪い事に電車は目の前に来ていた
「ざけんな、眩しいんだよ」
-現在-
「……知ってますよ、ニュースで大きく取り上げられましたから」
「そうじゃなく、マスコミとかも知らないような事を……あの事件の真実めいた事を知らないのかを聞いてるんだよ」
嶺臥は少し驚いた目で俺を見ている
声を荒げたからだろうな
「どうなんだ、知ってるのか?」
「いえ、一般的な情報以上は……、すみません」
「それが普通なんだから、謝るなよ」
俺は立ち上がり、嶺臥を部屋に誘った
[AbilitySchool:No.6跡]
「くっ、ここもか」
異常な早さだ
一体どうやって移動してるんだ
仕方ない
次の標的を聞くしか……
「おやぁ?珍しい人がいますねぇ?」
「……シンか、何の用だ」
俺は構えた銃を下ろす
「そう冷たくしないで下さいよぉ、実はぁ良い情報があるんですぅ」
「早く言え」
シンの語尾を伸ばす癖はカンに障る
「何とぉ、連続襲撃事件の犯人の現在の所在が分かったんですよぉ」
「何!?どこだ!?」
俺はシンに掴みかかる
「………そう焦るなよ、血圧上がるぜ?」
シンの表情が変わる
「真か」
「どっちにしても呼び名は[しん]だけどな」
シンと真、彼らは一つの身体に存在している