[AbilitySchool:No.3:神那の部屋]
「何となくだが、嶺臥には話しても良い気がするんだ」
「何をですか?」
俺はゆっくりと振り返る
「俺は、6年前の事故の被害者なんだ」
嶺臥の驚きを待ってやるほど、お人よしじゃない
「あの事故で俺は両親を亡くし、兄さんは昏睡状態なんだ」
「……そうだったんですか」
俺の話はまだ終わっちゃいない
「そして、あの事故が起きたのは、とある少年がサラリーマンにぶつかり、線路に落ちたから」
嶺臥、どうしたんだ?
顔が引き攣ってるぞ?
「その少年はこれまたとある組織に追われていて、逃げている最中だった」
視界の端に自分の顔が写った鏡が見える
こんな形相じゃ確かに引き攣るわな
「電車は確実にその少年を轢いた、身体はバラバラになった……にも関わらず!」
俺は今怒ってるのか?
それとも嘆いているのか?
「少年の遺体は見つからなかったんだ!つまり少年は生きてる!なら俺は両親を奪われた恨みをソイツにぶつけられるんだよ!」
多分どっちもだ
なぁ、嶺臥?
それは引き攣ってるのか?
笑ってるのか?
「ソイツは俺と同年代という目撃証言もあり、名前を分かった!」
多分、お前もどっちもなんだろうな
「その少年の名前は……!」
突如、爆音によって俺の言葉は遮られた
「ひゃははは!AbilitySchool連続襲撃犯の西木様が来てやったぜぇえぇぇぇ!」
窓から外を窺うと、ケンタウルスの様な機体の上に人が立っていた
「ちっ、迷惑な……話だ!」
俺は窓から飛び降りると、ニシキと名乗った男の前に立つ
「おいガキ!テメェから殺されてぇのか?」
「残念、死ぬのはテメェだ」
すると後ろから大輔と狗鴛がやって来る
「とりあえず神那、お前の実力は認めてやる」
「俺達、もう友達だよな?」
俺だけでも十分なんだが……、まぁ人数が多ければ早く済むか
「ガキが……ナメてんじゃねぇぞぉ!」
西木はケンタウルス型の機体に乗り込み、襲い掛かる
攻撃を防ぐか避けるか考えている時だ
静かに機体は倒れた