また殴られたんだ。
凄く寒いでしょ?
うん。
多分一緒だと思う。
心が痛いのと寒いのは。
母親?父親?
どっちでも一緒か。
その布は
その怪獣は
傷を隠すためにあるの?
傷つかないためにあるの?
あー眠い。
ガチャガチャ。
夜の東名高速にムイムイのギア捌きが響く。
僕らの会話はあれっきり。
「ばーか」
それで沈黙。
まあ僕達にとっては
これが普通だ。
何かすれば
相手が反応してくれる
なんて、
そんな考えが通るのは
一般人までの事。
僕らの様に
歪なヤツらは...。
がたん。
突然の揺れに
はっと我に返る。
隣ではムイムイが
楽しそうに唇を左右に歪めにやりと笑っている。
石榴の果肉の様な
淡い桜色の唇だった。
「来たぜ。アイツらが」
からから咽を震わせる。
僕も楽しくなって
「猫がにゃんにゃん
哭いてるなー」
ころころ笑う。
やっと終わりが
始まった。