蒼子の優しい表情に少しドキドキしながら、シャーペンの芯を全て拾い集めた僕は<例>の本題に戻った。
「…それで、デートの事なんだけど……べ、別に付き合ってる訳でもないし、お前が嫌と言うなら…」
たった一人の女子をデートに誘うだけなのに僕は一生分の勇気を使い果たしそうだ。トホホ…
けど、少し間をおいて蒼子は
「……いいよ。ちょっとびっくりした……けど北岡君、シャーペンの芯を拾ってくれる優しい人だし。
それに、私もっと貴方と話したい」
ガリガリ
ガリガリ
と、さっき拾ったばかりのシャーペンの芯を食いながら返事をしてきた。
こいつ、言ってる事は僕より一人前なのに……
やってる事が……残念すぎる。
「ところで、北岡君。……今日のデートは何処へ連れてってくれるの?」
蒼子が大切そうにシャーペンの芯をカバンにしまいながら、僕に問いかけてくる。
すると、僕はニヤリと笑い
「まあ、黙って俺についてきてくれ」
なんて、大口をたたき。
僕らは放課後の教室をあとにした。