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 『あっ』
 消ゴムが落ちた。
 拾おうとすると
 隣の席の佐藤悠太くんが
 拾ってくれた。
 『―…ありがと。』
 受け取ったとき
 かすかに手と手が触れた。
 その時――……。
 君に恋してしまった―。
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――――4月―――――――――――――
あたし、斉藤萌絵!!
 今日は中学校の入学式。
 小学校の時の友達はたくさんいるものの、新しい友達もたくさんいるのでドキドキしていた。
 隣の席は佐藤悠太くん。
 全然知らない人だ。
 悠太くんは無口で入学式の日は一言も喋れなかった。
 はぁ。
 中学になって1日。
 新しい友達―
 1人も出来なかった。
 このままやっていけるのかな。
 どんどん不安で
 いっぱいになっていった。
 小学校の頃からの友達は
 6人いるけど
 その中にあたしと
 仲が良い子は1人もいなかった。
 
 4月10日
 入学して2日。
 2回目の学校だ。
 頑張って友達は5、6人できたものの
 隣の席の悠太くんとは
 どうしても
 
 無理だった…………。
 『あっ』
 消ゴムが落ちた。
 拾おうとすると、
 悠太くんが拾ってくれた。
 『―…ありがと。』
 受け取ったとき、
 かすかに手と手が触れた。
 じっ とあたしの目を見つめる
 悠太くんの深い黒い目。
 ドキッ。
 その瞬間に
 あたしは
 
 恋に落ちた。
 つづく