会場に入ると、奥の教壇に男が立っていた。
「好きな所へ座って下さい」
言われる通りに座ると、男は淡々と話し始める。
「審査では見事な腕前だったと聞いております。本当におめでとうございます。」
表情からして心がこもってないのは見てすぐにわたった。
「ではライセンスを授与したいと思います。」
ムカイは一瞬聞き逃しそうになったが、すぐに気付き質問する。
ムカイ「す、すいませんライセンス取得試験は?」
男は表情を変えず答える。
「審査でSランクになりましたら、その時点でライセンス取得条件は満たしております。」
すると内ポケットから封筒をとり、封筒の中からライセンスを取りムカイに差し出す
ムカイは立ち上がり、男の前に行きライセンスを受け取る。
「ではこれでSランクライセンス授与式を終わります」
ムカイはライセンスをしまい、部屋を出ようと思ったが、振り返り質問する。
ムカイ「あなた名前は?」
「ゲイツと申します。」
丁寧な言葉使いで、年は二十代後半に見える。
ムカイ「1年前の斑鳩隠滅作戦は知ってますか?」
ゲイツ「申し訳ございません、私は1ヶ月前に協会に入りましたので分かりません」
ムカイ「…そうですか、では失礼します。」
ムカイが会場から出て、扉が閉まると同時に袖から女がゲイツに向かって歩いてくる
「多分バレてたと思うのですが……代表」
「やっぱりバレてたかのぅ」
それまで二十代後半だった姿が老人に変わっていた。
「まぁ中身まではバレとらんじゃろ」
「すぐに本部へお戻り下さい」
「急に付き合わせてすまなかったのぅ、しかし報告どうりただ者じゃないのは解った。」
「監視しますか?」
「無駄じゃろ、監視員を付けてもあの実力があればすぐにバレるじゃろ」
秘書らしき女性と代表と思われる老人も会場を後にする。
「しかし無視する訳にはいかんじゃろう、斑鳩隠滅作戦を知ってるとは…注意せねばならんのう」