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じゅ  2006-09-17投稿
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ジージー。

セミがまだ鳴き狂っている真夏。

栗田 樹璃。中3。
中学生活最後の吹奏楽コンクールに向け
夏休みの練習に燃えている吹奏楽部員だ。
ちなみに楽器はパーカッション。
パーリーとしてパートをまとめる。
今日は珍しく午後練だ。





私はいつも同じこの道を通る。

部活に行くときも、

駅に向かうときも、

友達の家に遊びに行くときも。

この道の途中に小さな公園がある。

ブランコと鉄棒とジャングルジム。

ただ、それだけ。

なんお変哲もなく、かなりつまらない。

でも、何を思っているのだろうか。

カップルがいつもブランコにのって

イチャイチャしているのだ。

私はなんとなくこの光景を見るのが好きなのだ。



今日もカップルはいるみたいだ。

でも・・・

ブランコに座っていない。





いつもと違う光景に驚いてしまった。

彼は彼女を抱き寄せ、激しいキスをしている。

「あ!」

思わず私は声をあげた。

声に気付いた彼はチラっと私のほうを見る。

当然、目が合ってしまった。

彼はゆっくりと彼女から口を離す。

彼女はヘロヘロと彼の胸にもたれた。


そして、改めて彼は私のほうを見た。

なかなか端正な顔立ちで、

目が印象的な魅力的な雰囲気を出している。

私は蛇に睨まれた蛙みたいに動けない。

(動け!動け!私の足!!)

必死に自分に呼びかけるが指令が伝わらない。

彼はそんな私の焦った様子を見て、

「クスッ」っと笑った。

一瞬にして私の緊張は解け、

ただちにその場から走り去った。

彼のクスっと笑った顔が頭の中をかけめぐる。


(なんであんな暑い真昼間からあんな・・・)

私は走りながら悶々と考えた。

「じゅーりー!!」

後ろから聞き覚えのある声がした。

私はパッと振り返った。

里香が一生懸命手を振っている。

「じゅーりー!!待ってー」

必死に私のほうへ走ってきた。

里香は小学校からの親友で、

同じ音楽の道を進んできた。

楽器は違うが、お互いのことはわかりあっている。

「おー、里香。どした?」

「どしたじゃないよー。
 まだ時間こんなにあるのに全速力で走っちゃって・・・。
 どうかしたの?」

「あー、あんねー」

私は里香に見たことを全部話した。















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