【灼熱のファンタジー・ノベル】
河童の華
ごはんライス&小説株式会社
とある河童の国。
河童の華は、母親の看病をしてる。
「ああ。食べたいねえ。食べたいねえ」
「何が食べたいかゆってよママ!」
「食べたいねえ食べたいねえ」
母親は少し認知症もあった。たまに華の靴の中にしっこをしてしまうことがある。
ベッドの下でネズミのチューが眺めてる。
チューもけっこうなおばあさん。
「華ちゃん。人間の世界にすごく旨い料理があるらしいよ」
「それは一体なによチュー」
「ワッフルって言うらしいよ」
「それは青椒肉絲より旨いというの」
「ああ。旨いに決まってるさ。松下さんとこの娘さんが人間界に行ったとき食べて下半身でぶになったそうだよ。一緒に行った子は射殺されたらしいけどね。万引きしたのさ」
「ワッフルかぁ……」
華は頭の皿をなでた。
「ママに食べさせてあげたいな」
華の母親はその夜、容態が急変し、帰らぬ人なり、それを追ったのかチューも老衰で他界した。
運の悪いことはさらに続く。華の彼氏ナイスも、トラックにはねられて死んだ。芥川龍之介が自殺した年齢と同じであった。
さらにひどいことは連鎖する。
華は河童株式会社で秘書をしていたのだが、課長の陰謀に巻き込まれて解雇されてしまった。
そんなわけで、華は今、朝スーパー「河童」でバイトをし、夜、河童塾でバイトをし、小説家を目指している。
「ああ。ワッフル食べてみたいなあ」
華は、河童公園にテントを張り暮らしていた。ドラム缶に水を入れ沸かして入る。
頭の皿をなでる。
「でも人間の世界は怖そうだからなあ」
華は河童国から出たことがない。
華は、野球の小説を書いていた。すばる河童文学賞に送る予定である。
華はひとりぼっちで寂しかった。
そんなとき、自治体の役人たちが、公園にあるたくさんのテントを燃やした。たくさんのホームレス河童が焼け死んだ。華はたまたま塾で仕事していたので助かった。
しかし、原稿は燃えてしまった。
華は悲しくて悲しくて河童街をさまよった。
すると、若い河童が華に声をかけた。
「お嬢さん。ポルノに出ませんか」
華はこいつバカだなあと感じる。そんな誘い方しても誰もついてかないぞ。
しかし、華はやけくそになっていたので承諾した。
河童ストリートをまっすぐ行くと右手に事務所があった。
華はバスタオルを巻き、河童男優とベッドの上にいた。
「リラックスしてね」
「は、はひっ!」
「かたいなぁ」
ここから数枚は、少年誌に合わないので割愛します。
河童少年が悪の道に行くのを防ぐ。
というより、河童行政の規制が激しくなり、河童文化が衰退するのを防ぐためである。
華は100万カッパもらった。
「わあ。これで一体何を買おう」
ひとまず、華は母親とチューとナイスのために墓をたてることにした。今は、河童公園の木の下に埋めてある。
華は、ひとまず、ビデオボックスに泊まった。エロ河童DVDの他に、笑ってはいけない河童シリーズなども観ながら、うとうとしてきた。
華は夢の中でワッフルを食べていた。無論実物を見たことないので、河童の世界で有名なお菓子マースロドリゲスを少しアレンジしたものが出てきたのだが。
華は目が覚めてから、人間の世界に行こうかなぁと少し思う。人間は暴力的らしいので確かに少し怖いが、ワッフルの魅力には勝てない。
華は、ビデオボックスを出て、服屋へ行った。人間のファッションは河童国でも人気がある。
華は人気の衣装に着替えて、人気界へ行こうとしてる。
「ワッフルワッフルワッフルワッフル」
華は墓をたててから、川に出た。切符を買い、河童船に乗り込み、船は下る。
太陽が照っていた。
せみが鳴いていた。まるでロックコンサートのようだ。
「ワッフルワッフルワッフルワッフル」
「お嬢さん!あぶねえから踊らないでっ!」
華の旅は始まったばかりだ。
編集者注:
実在の人物・団体・事件とはあまり関係ありません。