私達はいつから一緒に暮らしているのだろう。
私は生まれ落ちた時から、貴方と一緒にいる気がしてならない。
「ミサキ、おはよう。」
太一は、いつも通りにそう言って私を起こした。
外は明るかった。
私が、うーんと伸びをしているのを太一は横で見ていた。
彼は微笑み、私の頭をそっと撫でた。
『おはよう。太一。』
彼は、ベッドからおり洗面所へと消えた。
私もベッドからおり、カーテンを少し開けた。
季節は冬。
床が冷たかった。
ゆっくりと、やわらかな光が全身を温める。
また、今日が始まる。
彼がいつの間にか部屋に戻ってきていた。
彼は、私の傍に来てカーテンを全て開け放ち、部屋全体に光を注いだ。
広い部屋ではないが、2人で暮らすには十分だった。
「今日は休みだからどこかへ行こうか。」
彼がベランダ越しの晴れた空を見ながら提案してきた。
『どーせ、行くっていつもの公園でしょ?』
クス‥っ!
彼は笑った。
笑うと目尻にしわができ目がすっと細くなる。
そんな彼の笑顔が、私は大好きだった。
2人で遅い朝食を食べた後、私はベッドの隅に座った。
ベッドは窓の近くにあるため、そこはよく日が当たるのだ。
太一が横に座ってきた。
そして、私を抱き締めた。
私は、この時間が1番好きだった。
しかし最近、太一は仕事が忙しかったらしく朝はあまりゆっくりできなかった。
2人でゆっくりするのは本当に久しぶりだった。
彼は優しく私を包み込み、ぬくもりをくれる。
『あったかい。』
私がそう言うと
「あったかいねー。」
と彼は答え、嬉しそうに笑った。
彼の腕の中が1番落ち着く、そんなことを考えていると彼は突然
「あ‥‥!」
と言った。
驚いて彼を見上げると
「‥‥ミサキに渡したいものがあるんだよ。」
彼はそう言って立ち上がり、戸棚から小さな箱を持ってきた。