和と洋が入り交じりあう時代、大正。
ドレスや夜会などが流行りだし、華やかな文化が……時代そして、人を変えてゆく――。
しかし、1人だけその時代の流れに乗れていない………乗らない少女がいた。
「はぁ……、最近の女子はあんなビラビラした服ばっかり着て!見てるだけで暑苦しいわっ!」
私の名前は、池田 刹那(イケダセツナ)。長い黒髪が特徴の16歳。
刀鍛冶の父が亡くなり、早一年。
私は父が残した鍛冶屋、通称【池田堂】の店主を営んでいる。
客なんて来たこともない。
だって、こんな華やかな時代に地味な鍛冶屋が流行るわけないでしょ?
「はぁ………」
私はいつも、客のいない店の窓から外を眺めていた。
あいつらが
やってくるまでは。