「そ、そんな・・・弓が・・・」
李那は、全身の力が抜けてその場に座り込んだ。その姿を見てキリヤは、ニッと笑う。
「これで、戦えない・・・かな?」
「くっ・・・」
李那は、粉々になった弓砂と一緒にグッと握った。そして、キリヤをにらむ。
「そんな怖い顔すんなよぉ」
キリヤは薄く笑った。そして、右手を前に突き出した。
「決着といくか・・・」
ズォォォォォォォォォ
「!」
勢いよく砂が飛び出してきた。その砂はゆっくりと李那の体を包んでいく。
「でられない・・・」
李那がどんなに砂をかいても、砂は李那の体を包もうとする。
「無駄だよ。そんな事したって逃れられない」
「うっ・・・」
息がしづらくなってくる。李那は目を強く閉じた。それと同時に、李那の体全身を砂が包んだ。
「このまま、つぶすよ・・・」
そのキリヤの顔が少し見えた。そして、李那の目の前が真っ暗になった。
私・・・死ぬの?
『李那。御前、すごくかっこいいよ』
啓・・・様・・・。
啓吾の言葉が頭の中に蘇ってきたとき、李那の右手が温かくなって黄色に光っていた。それは、キリヤにも見えた。
「な、なんだ・・・。この光は?!」
バァァンッ!!
李那の体を包んでいた砂は、大きな音を立ててはじけた。
「皆の思い・・・、無駄にはしない!」
李那の声が聞こえる。李那の右手には、銀色の弓が握られていた。