ギターをかき鳴らし絶叫する。実に愉快なるライブ。ミシンのようなビート。
松岡はライブハウスを出てから、熱狂的なファンに刺された。
ざあああああああ。
入院中、松岡はギターが弾きたくて弾きたくて泣きそうだ。
看護婦さんはかわいい。それは認める。
が、ギターが松岡の第一の恋人であった。
仕方なく松岡はベッドの上エアギター。
松岡は夕暮れを眺めながら、はやく退院したいなぁと思う。
松岡が思うに、ギターの愉快さは、ソウルを美しく激しく奏でるところにある。
松岡は、退院してから、しばらくは作詞作曲に専念。ライブハウスにいくと刺されたときの記憶が蘇り、どうもいけない。
カネがないからスタジオは借りられない。カラオケボックスで録音。
松岡の作った詞。
きんたまきんたまイェイイェイイェイ
きんたまたまらんイェイイェイイェイ
これがだんだん変わる。
君が好きだぜイェイイェイイェイ
君に魅せられイェイイェイイェイ
どっちがいいかはリスナーの好みである。
松岡は、結局どっちか決められなかったが、ひとまず曲はいいのができた。
華子が遊びにきた。曲を聴かせる。華子はサビを作ってくれると言う。華子はピアノが弾ける。
部屋で演奏すると近所迷惑。二人して高速道路の下へゆき、松岡はギター、華子はビアニカで演奏した。
疲れたから屋台へ。
おでんをつつきながら。
「あたし、まっちゃんとやってるとき、一番しあわせ」
「オレだって華子とやってるときがしあわせ」
大将が顔を真っ赤にさせて酒をつぐ。勘違いしてる。
「もっと華子とやりたいなあ。激しく」
「あたしもまっちゃんと激しくやりたいよ」
大将は鼻血をプシューーーっと出して倒れてしまった。「大将、しっかり!」
月が笑ってら。しょっぱいね。