宮城春樹は、謎だらけの男だ。
一応僕とタメで、同じ春日井高校に通う2年生なのだが、何故か制服を着ない。
不良が制服を着崩す、とはまた違う次元で、制服を着ない。
変形のガラシャツにレザーのライダース、真っ黒のスキニーに14ホールの、厚底ワインレッドのブーツ。
これが彼の普段着だ。
ちなみに僕は制服だ。
意味がわからない。
何故彼が、そんなロックな服装で登下校するのかも謎だが、それを注意しない学校側も謎である。
噂では、彼は理事長の息子だっり、あるいは教員全員を黙らせる弱味を握っていたりする。
そういう訳で彼は謎だったりする。
そんな彼と僕が、唯一出会う場所が屋上である。
この町で一番空に近い、僕達の逃げ場だった。
昨日までは。
「自殺か事故死か他殺か
知らねぇが、屋上閉鎖は
いかんだろ」
春樹がぼやく。
という訳で僕達は探偵になった。
事故の真相を暴き、屋上を取り返すために。
早いとこ終わらせよう。