雨が降りそうだったが、傘は持って行かなかった。
傘を持つことすら面倒だ。
少々濡れたって構わない。化粧が崩れたって。
今日は構わない。
いつも通りに無言で家を出た。
いってきますってなんだか照れる。
高二にもなってね。
ただいまは言えるんだけど。
そう高二にもなってまた学校をさぼっている。
一時間に一本しかないバスにわざと乗り遅れる。
ゆっくりゆっくり歩いていく。
そうしてバスをやり過ごした後、案の定、私は雨に打たれている。
何度目だろう。
あと10分はこうして待たなければ。
家の者がいなくなるまで、ぼーっと外で待つしかない。
屋根もない場所で。
ばかばかしい時間だ。
くだらない奴だ。
でも、こんな日が必要なのだ。
繰り返しの毎日に負けて、ヒトと話すことさえ面倒になったときに。
ひとは弱いと言うだろうか。
実際、毎日登校してくる人には頭が上がらない。またサボリか、と言われて返す言葉もない。けどまあ、それでいい。
こうやってさぼることで実際にバランスが取れているじゃないか。次の日にはいつもよりずっと元気な姿を見せるでしょ。
パラパラと落ちていく雨に、そう言い聞かせた。