上條 空
わたしに 差し出された名刺に 記載された名前…
顔に見覚えは
全くない
いぶかしげに
彼を見つめ
「あの…どちら様でしょうか?」
聞いてみた。
薄ら笑いを
浮かべると
上條 空は
「私。。忘れさせ屋
上條空と申\します
島村様よりのご依頼で
参りました」
キリッとした
スーツ切れ長の目漆黒の髪は綺麗に整えられていて
まるで ホストのよう。。
島村 コウジ
私の交際だ
最近 仕事が多忙で
なかなか 会えずにはいたが
まさか その彼が
【別れさせ屋】なる
ものを
わたしに しむけるとは…
彼と私の出会いは
私が 派遣先で知り合った上司
温厚で 紳士で
私は 彼の大人な雰囲気に一瞬で恋に落ちた
彼が結婚してるとしりながら
付き合いをやめられなかったのも
私が 誰かを思うと
止められなくなる
悪い癖からだ。。
彼にのめり込み
おそらく
彼の 奥様に
バレてしまったのに
違いない
いま、目の前にいる
上條空 この
男に 事情をきいたけど
「依頼人の以降でお話できません」
と 言うだけ
ただ
彼を忘れるまで
私の側に居る。。
彼を忘れるために
手を尽くします
と
それだけを
言って
その日は
帰っていった。。
別れたいなら
普通に別れたいって
言ってくれればいいのに!
と ヒステリックな私に
上條空は
「島村様。あなたの事を真剣に愛されてました…それは私の目から見てすぐに伺え知れましたが。
貴方をこのまま不倫と言う曖昧な立場に置かせるのは居たたまれないと
貴女はまだ若い自分を思い時間を無駄にしてほしくないと」
そう おっしゃってましたよ。。
柔らかな笑みを
浮かべ
去ったあと
私の 頭のなかは
混乱した ままだった
大好きだった
彼から
「俺を忘れてくれ」と
言われた
私が 彼を 愛してるって
見透かされたから
彼は
別れさせ屋 なるものを
利用した。。
これが
混乱せずに
いられる
訳がない…
私は
混乱したまま
2度見送った
電車に 人並みに押し込まれるように乗り込んだ。